おはようございます!池田千恵です。
先日、長崎大学准教授でスピーチコンサルタントの矢野香さんに呼んでいただき、長崎大学にて1年生向けの「キャリア入門」講義が、矢野さんとの対談形式でオンラインで開催されました。矢野香さん、どうもありがとうございました!
矢野さんとの対談を終え、矢野さんのファシリテーション力、すごい!学びたい!と思いました。普段、主に30代〜40代の会社員の皆さん向けにお伝えしているキャリア論を、どうすれば学生が「自分に関係ある」と思ってくれるかを、とても上手に聞き出してくださり、とても勉強になりました。
今回 ”私が「朝活」を自分の「強み」と気付くまで” というテーマでの対談でした。
私はプロフィールだけ見ると、慶應大学卒、外資系戦略コンサルティング会社出身、本はベストセラーになり、現在会社経営…といったように、一見キラキラキャリアっぽいですが、実情は全然キラキラしてません。
大学受験は2回失敗していて、やっと入ったときはもう20歳、就職活動も、ことごとくうまくいかず、やっと入れてもらえたベンチャー企業では20代で窓際社員になりかけていたりと、内情はキラキラとは程遠いです。(詳しくはプロフィールに書きましたのでご興味ありましたら読んでいただけると幸いです)
でも、大学で落ちこぼれ、就活がうまくいかなくてよかった!と今は心から思えます。なぜなら、20代のうちから自分が何者か?自分がどこに行けば強みがでるのか?天才になれない凡人はどうすればいいのか?を、これでもか!というくらい考えた結果、自分ならではの生きる道を見つけることができたからです。
たとえ今、あなたが大学がつまらない、ついていけない、就活失敗した、自分の強みなんて見つからない…そんな絶望の淵にいたとしても大丈夫です!
絶望は浮上のサイン。絶望したからこそ、「自己分析の鬼」と自称してもいいくらい、若いうちから徹底的に自分を棚卸しした経験が、今のキャリアにものすごく活きています。
この暗黒の20代があったからこそ、今のままの働き方で良いのか迷うキャリアの踊り場期に、朝時間でなりたい自分を言語化し、行動するコミュニティ、朝キャリを立ち上げ、多くの方の人生戦略の支援ができるようになりました。
そこで今回は、学生向けにお話した講義の概要を「20代のうちにしておいてよかった!自分の強みの見つけ方」というテーマでまとめて解説します。
Contents
■大学についていけず落ちこぼれたとき、20代でしたこと
1. 人と比べて、羨ましがり、落ち込みまくった
受験勉強を終え、希望の学校に入れた人もそうでなかった人も、一度は「思っていたのと違う」と悩むのではないでしょうか。
私の場合2回浪人してまで入った憧れの大学だったので、
- 合格したらすべてうまくいくんじゃないか
- 将来安泰でバラ色の人生が待っているんじゃないか
- 悩みなんて全部消え去ってしまうのではないか
なんて期待していました。
でも、実情は、周りが優秀で完璧な人ばかりに見えて、自分とは全く世界が違うと感じました。身の丈に合わないところにきちゃったなーという居心地の悪さをずっと感じることになりました。
世の中の情勢、社会問題なんて少しも考えたこともなく、自分のことばかり考えていた私に比べ、18歳、19歳のうちから自分の意見をしっかり持って、日本・世界のために自分が何を行動すべきか、授業で発表できる人が羨ましい。
地方の田舎出身で、父親公務員、母親専業主婦のごく普通の一般家庭で育った私に比べ、生まれも育ちも東京で、スマートで都会派。どーなってんの慶應ボーイ。
夏休みに海外留学できるほどの経済力がある家庭が羨ましい…。
趣味や、やりたいことがたくさんあって、打ち込んでいる人がキラキラしていて、羨ましい…。
なんなんだ、この格差は…。私、ここにいていいのかな?
自分にないものを羨ましがり、落ち込むだけ落ち込んだ結果、今より10キロ以上痩せていたのにもかかわらず、なぜか「私がうまくいかないのは太っているからだ」と思い込み、拒食症や過食症になってしまったり、「太った自分を外に見せたくない」と家に引きこもったり、実家に帰省すると親にご飯をいっぱい食べさせられて太ってしまうからと、年に1度しか帰らなかったりと、今振り返ると、かなり精神的にやばい状態になりました。
そんな暗黒の4年間で面接などもうまくいくわけがなく、就職活動はほぼ全滅。唯一拾ってくれた外食ベンチャー企業に入社しました。
2. 落ち込み切って、吹っ切れた
頭の出来や家柄、家庭環境などを比べて羨ましがり、精神的に追い詰められ、就職活動もままならない状態にかなり凹みましたが、これって、自分が思い悩んだからって何も状況は変わらないし、嘆いても仕方がないことですよね。
とことん落ち込み切るのは辛かったですが、底を打てば上がります。あとは這い上がるだけ。
しょうがないから、こんなダメダメな私でも行きていけるところは何か?を、よろよろになりながらも探すことにしました。
■大学についていけず就活も失敗した落ちこぼれの私が自分の強みを見つけた自己分析法
優秀な人ばかりがいるこの大学じゃ、何をどう頑張っても勉強では勝てない!そう思ったので、学生時代や社会人1〜3年目にかけては、勉強以外で生きる方法を、いろんな角度から探ることにしました。
◎20代のうちにやっておきたい 自分の強みの見つけ方1:多くの人の真逆を行く
勉強では勝てないけど、料理だったら勝てるかもしれない…。そんな一本の希望の糸をたどって行動をはじめました。振り返ると、小さいころからお菓子づくりが大好きで、学校にバナナケーキやクッキーを持っていってみんなに配っていたことを思い出したんです。
そこで、多くの同級生が銀行・商社・コンサルといった当時の人気企業を就職活動の場に選ぶなか、「食」に絞った活動にフォーカスしよう!と決め、大学でも「料理好きといえば」のポジションを狙い、就職活動も「食」をテーマにしぼりました。
また、今でこそスタートアップに優秀な学生が殺到したりしますが、私が就職活動をした1999年当時はベンチャー企業に東大・早慶出身が入社するのはとてもめずらしいことだったので、(私は就職活動全滅で、唯一拾ってくれた、という立場ではありますが)当時名もない企業に入社したのは結果的に、多くの人の真逆をいく行動でした。
◎20代のうちにやっておきたい 自分の強みの見つけ方2:「人よりちょっと詳しい」をかけ合わせる
とはいえ、食や料理は修行の世界。15歳16歳から修行している人たちに勝てるわけはないし、農業大学など専門性をもった人にも知識で勝てるわけはありません。
そこで、「発酵熟成」をキーワードに、少しずつ色々な専門性を組み合わせてみることにしました。
新卒で入った外食ベンチャーは居酒屋チェーンだったので、お酒を扱っていました。私はお酒を飲むが好きだったし、仕事の役に立つかも、と、まずは「きき酒師」の資格を取ることにしました。
そこから、ワイン、チーズ、マクロビオティック、天然酵母パン、ビール…と、次々と資格をとっていきました。その道のちょっとしたプロになり、掛け合わせることができれば、唯一無二になれるのではないか?と考えたのです。
◎20代のうちにやっておきたい 自分の強みの見つけ方3:○○と言えば、で半径5メートルに知られるように行動する
こうして人よりちょっと詳しいことをかけ合わせていき、ブログなどで知識を発信しはじめました。すると、少しずつ周囲に「お酒と言えば」「発酵熟成と言えば」みたいな感じで知られて行くようになってきました。
ブログに飲食の資格試験受験記を書いたり、会社の社内SNSみたいなところに「飲食が趣味でいろんな資格を持っています」といった記載をしたりしているうちに、当時流行っていたmixi経由で「教室を開きませんか?」と声がかかり、会社の許可を得て週末起業でパン教室の先生をはじめました。
開催していたパン教室には、会社の同僚や先輩、後輩が来てくれて、口コミでだんだん活動の幅が広がっていきました。
他には「チーズプロフェッショナル」というチーズの資格の受験記ブログを見たラジオ局から「ラジオでチーズの話をしてください」と問い合わせがきて、会社員なのにラジオデビューしたり、
私の活動を知った大学の先輩経由で焼酎メーカーから声がかかり、焼酎メーカーのオウンドメディアの記事を書く、ライターとしても活動するようになりました。
そのころには外資系コンサルティング会社に転職していたのですが、社内SNSにワインに詳しい、と書いておいたおかげで、仕事中に役員秘書から内線が入り、「クライアントの役員昇進祝いにふさわしいワインを教えてください」という仕事(?)が入ることもありました。
あなたも、「何のキーワードで自分を思い出してもらえるか?」を意識し、発信をはじめてみましょう。サークルでも、バイト先でもいいです。「○○といえば」で知ってもらった先に、自分らしい強みが見つかるはずです。
■20代で見つけた強みを手放し、再び自己分析で新たな強みを見つけた私の方法
ここまで読んでいただくと、「あれ?朝活の話が全然ないのでは?」と思う方も多いかもしれませんね。
そうなんです。20代で積み上げてきて、メディア出演とか副業といった形でちょっとずつ芽がでてきた自分の強みを私は捨て、今は全く違う仕事をしています。
ここで伝えたいのは、自己分析を20代、就職活動の一度きりで終わらせなくてよかった!ということです。この経験があるからこそ、私は朝活コミュニティ「朝キャリ」で、大人の自己分析の効果的な方法をお伝えしています。
ここからは、培ってきた「食」での強みを20代後半に手放し、30代に「朝活」「キャリア支援」という新しい強みを見つけたプロセスについてお伝えします。
◎20代のうちにやっておきたい 自分の強みの見つけ方4:まったく知り合いがいない場所に飛び込む
20代で「発酵熟成」という強みの種をみつけ活動し、副業としてはそこそこうまくいっていたし、会社員のままメディアデビューも果たし、転職先の外資系コンサルティング会社でもまあまあ仕事もできるようになってきた自覚があり、私けっこういい感じ、と思っていました。
大学時代、学生起業家として活動する友人を見ていた経験から、いずれ料理研究家として独立したいと思うようになりました。
調べてみると、著名な料理研究家はレシピ本を出して名刺代わりにしているようでしたので「私も出したい!」と思い、「本 出すには」で検索。検索にヒットした、大学の先輩が始めていた出版を目指すセミナーに申し込み。出版を目指すようになりました。
このことについてさらに詳しくは、noteに記していますのでご興味がありましたらどうぞ。
この出版セミナーが私にとっての人生の転機でした。「外資系コンサル会社で仕事をしながら副業で料理教室したりライターしてる私って、割といけてる」と思い込んでいたんですが、そんなの井の中の蛙で、全然大したことがないし、こんな状態で本なんて出せるわけがないと気づきました。
自分が仲良くしている中のコミュニティ、会社ではプチメジャー状態でも、全然違う場所に行けば全く大したことがないんだ、とショックを受けました。
このように、20代で恐れを知らず「けっこういい線いってる」と思ったときは危ない。そんなときこそ、自分のことを全く知ってもらえてない、超アウェイな場所にいき、「自分なんて大したことない」を思い知ることが大切だと思います。
例えばあなたが大学生なら、教養教育の授業など、文系理系ごちゃまぜになっているような場を大切にしてみたり、自分にはちょっとむずかしいかも?と思う背伸びしたアルバイトにチャレンジしてみたり、学生だけでつるむのではなく、社会人の先輩がいるコミュニティに入るのも手です。
私が主催する朝活コミュニティ「朝キャリ」も、大切にしたい価値観は同じだけど、職業や年代が様々な人が刺激しあうコミュニティです。30〜40代がメインですが、きっと勉強になると思います。
◎20代のうちにやっておきたい 自分の強みの見つけ方5:手段と目的を混同しない
その出版セミナーをきっかけに、再度「自分の強みとは?」を深掘りして振り返ってみたところ、衝撃的な事実に気づいてしまいました。
実は、私は料理を作るのが、それほど好きではなかったのです。レシピ本を出したい!といいつつ、理想の料理を作るために調味料の量を少しずつ変えていく。それがめんどくさくて仕方がなかったんです。
料理が好き、というよりも、料理やお酒を囲んだ「おいしいね」「嬉しいね」「楽しいね」というコミュニケーションが好きだったと気づきました。
でも、大学時代、勉強ができなかった強烈なコンプレックスから「私は食でしか勝てない」と考え、多くの飲食関連の資格取得に時間とお金を使っていました。
「これだけお金と時間をかけたんだから、やめられない」という、サンクコストの罠にハマっていたことに気づいたんです。
サンクコスト(sunk cost = 埋没費用)とは、それまでに費やした労力お金時間を思うと、やめたほうが本当がいいのにやめられない状態のことです。
私はコミュニケーションが好き(目的)なのに、料理が好き(手段)と思い込んでいたのでした。この経験から、手段と目的をいつの間にか混同していないか?と常に考えることの重要性に気づきました。
大学時代に料理でしか勝てない!と思い込んでやってきたので、これに気づいたときはかなりショックでしたが、まっさらな何もない自分に何ができる?をゼロベースで考えるきっかけになりました。
◎20代のうちにやっておきたい 自分の強みの見つけ方6:他の人に自分の強みを聞く
料理の道じゃない私…全く見当もつかなかったので、本当に悩みました。
そんなとき、出版セミナーのランチタイム、何気ない雑談のとき、私が普段から習慣にしている「朝4時起き」の話をしたところ、周囲の目の色が変わりました。
- なんで朝4時起きなの?
- どうして5時じゃなくて4時なの?
- きっかけは?
- 眠くなったらどうするの?
- 家族とはどう時間のやりくりをしているの?
など、矢継ぎ早に質問を受けました。私が「料理が得意です」「料理研究家になりたいです」と言っていたときと全く反応が違うものでした。
そこで気づいたのが、「あなたの普通はだれかのすごい」ということです。
でも、自分は普通だと思っているので、あえて、他の人に言っていなかったりするんです。私の場合も、朝4時起きをしていることは、夫しか知りませんでした。大学受験を早起きで乗り切ったことも、そんなの普通だし、と周囲に伝えていませんでした。早起きしていても別にお医者さんでもないし効能なんて話せないし、とも思っていました。
自分のことは自分がよく知っている、といいますが、そんなことはありません。自分のことは、意外と自分は知らないのです。だから、自分の強みを人に聞くことってとても大切です。
- 自分なんて大したことないし
- みんなできるし
と思っていることも、ちゃんと口に出して周囲に伝えていくと、「え?そんなことできるの?すごい!」と周囲が強みを発見してくれるかもしれません。
◎20代のうちにやっておきたい 自分の強みの見つけ方7:強みの共通点を知る
「朝4時起き」という自分の強みの種を見つけたとき、今までやってきたこと、好きなこと、得意なことの共通点をもう一度探ってみることにしました。
すると、全て「コミュニケーションの手段」だったと気付きました。○○したいのにできない、といったコミュニケーションの悩みを「朝4時起き」「料理」で解決していくのが私の人生だったのです。
自分の中で朝4時起きと料理は別ものではなく、つながっていることがわかり、モヤモヤもスッキリし、料理への未練もスパッと断ち切ることができました。
余談ですが、拙著『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』のムック版出版の際、良く眠れて早起きできるレシピ監修という形で、早起きと料理、どちらの夢も叶いました。人生って無駄がないなーとしみじみ感じました。
■大学がつまらなくても就活失敗しても、20代のうちにコレをすれば大丈夫!
今回、私の実体験を紹介しつつ、20代のうちにやっておいてよかった!と思うことを7つピックアップしました。
◎1:多くの人の真逆を行く
◎2:「人よりちょっと詳しい」をかけ合わせる
◎3:○○と言えば、で半径5メートルに知られるように行動する
◎4:まったく知り合いがいない場所に飛び込む
◎5:手段と目的を混同しない
◎6:他の人に自分の強みを聞く
◎7:強みの共通点を知る
大学で落ちこぼれ、就活に失敗したとき、こんなツライ人生あるのかな…と思いましたが、今ではそれでよかった!と心から思えます。「自己分析の鬼」と自称してもいいくらい、若いうちから徹底的に自分を棚卸しした経験が、今のキャリアにものすごく活きています。
20代のうちから自分が何者か?自分がどこに行けば強みがでるのか?天才になれない凡人はどうすればいいのか?を、これでもか!というくらい考えた結果、自分ならではの生きる道を見つけることができました。
たとえ今、あなたが大学がつまらない、ついていけない、就活失敗した、自分の強みなんて見つからない…そんな絶望の淵にいたとしても大丈夫です!
どんなにツラくても、落ちるだけ落ちたらあとは這い上がるだけ。今日紹介した7つのステップを覚えておき、自分なりの戦い方を身につけていきましょう。応援しています!
株式会社 朝6時 代表取締役。国家資格キャリアコンサルタント。慶應義塾大学総合政策学部卒業。外食企業、外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。企業の朝イチ仕事改善、生産性向上の仕組みを構築している他、「働き方改革プロジェクト」「女性活躍推進プロジェクト」など、ミドルマネジメント戦力化のためのコンサルティングや研修を行っている。個人に向けては朝活で人生計画を立てるコミュニティ「朝キャリ」(https://ikedachie.com/course/salon/)を主宰。12年連続プロデュースの「朝活手帳」など著書多数。