こんにちは。池田千恵(@ikedachie)です。
- 今の職場を今のところ辞めるつもりはない。仕事は好きだしやりがいがあるけれど、なんとなくこのままでは不安
- 「人生100年時代」とか「パラレルキャリア」が話題になっているので今のまま何もしなかったら取り残されそう。会社員としての自分だけでない何かが欲しい
- 「こうやって生きて行けたらいいなー」「本当はこうしたいんだけどな」という気持ちがぼんやりあるけれど、本業との兼ね合いや時間のバランスを考えると、副業までするのはちょっと…と、二の足を踏む。
- 小さい子どもを育てていて、マミートラックに乗ってしまいそうで不安。今のうちに自分しかできない強みを見つけ、磨いておきたい
現状に大きな不満があるわけではないけれど、何となくこのままでいいのかな…?とモヤモヤする時ってありますよね。こんなことで悩むなんて、贅沢なのかも…と思うと、周囲にも相談できなかったりすることも。今回はそんなキャリアのモヤモヤを解決するために、会社を辞めずに今からできる方法についてお知らせします。
Contents
■漠然とした将来不安が消えない理由
なぜ上記のようなモヤモヤ状態になってしまうのでしょう。外的な問題(社会環境)と内的な問題(自分のスキル不足)の2つがあります。
社会環境の問題
今は、目標とするロールモデルがいない時代です。ネット有名人・芸能人・インフルエンサー、プロ経営者・起業家、ビジネス誌にでてくるキャリア人…確かにすごいかもしれませんが、自分に当てはめるには前提が違いすぎる場合も多いです。どうしても「あなただからできたんでしょ」と言いたくなりませんか?
会社でも「この人についていきたい!」という先輩はすぐに辞めてしまったり、今活躍している管理職女性は、ほとんどが「男性並み」の仕事量を圧倒的努力で、プライベートを犠牲にしてこなしてきたスーパーウーマンばかり。「あそこまではできない」という気持ちになってしまいます。
そこで、身近な会社の先輩に聞きたくても、今は価値観の多様性から、子どものありなし、結婚しているしていない、パートナーが子育てに協力的かどうかなど、プライベートに踏み込む話をざっくばらんに聞ける環境ではありません。
また「働き方改革」での労働時間削減の結果、雑談や飲み会でホンネを語る機会も少なくなり、会社でぶっちゃけ話を相談できる環境がないのです。
自分のスキル不足の問題
雑誌を見ても、会社を見ても、この人についていこう!と思える人がいないと、自分の「好き」や「やりたいこと」がおぼろげにみえていたとしても、次のような状態になります。
- ホンネで人生について相談できる場が欲しいのにない
- 経験不足、知識不足による不安が募る
- 本当にこの方向性で合っているかわからないから思い切った行動ができない
- そもそも自分の「好き」や「得意」にニーズがあるのかが分からない
「ちゃんとしてから発信しないと」
「頑張っているのに、いつまでたっても理想の自分になれない。変だな…?」
と不安に思うまま時間だけが過ぎてしまいます。
■「ちゃんとしてから」の呪縛から逃れよう
では、この「負のスパイラル」を抜け出すにはどうしたら良いのでしょうか。
解決策として提案するのは、会社にいながら「自分テストマーケティング」を行うことです。
自分テストマーケティングは、上記の図の1〜3を繰り返すことを言います。
自分の進路に悩むと、いきなり転職、副業、会社で新事業立ち上げ、起業…と考える人が多いですが、それは無謀です。
今ある環境を維持しながら自分テストマーケティングを繰り返すことができれば、特にホワイトカラーの仕事に従事しているとなかなか気付かない「労働の対価がいくらか、会社にどのくらいの価値を提供できているか」というコスト感覚や、「世の中に求められているのは自分のどの能力か」というマーケティング感覚を、会社に在籍しながら磨くことができます。
今は3年後、5年後に今の会社が「何屋」をやってるかすら分からない時代。自分の価値が分からないのに無謀な挑戦をするのは危険でしかありません。
いきなり転職、副業、新事業立ち上げ、起業などを考える前に、自分をひとつの商品として、会社員の今のうちに何ができるかを試してチャレンジする環境を整えていきましょう。
■小さく試して調整する「先生ごっこの会」の事例
では、具体的にはどのように「自分テストマーケティング」を進めれば良いでしょうか。
やりたいことはボンヤリあっても、しっかりと形になってなかったり、発揮する場がないという方も多いでしょう。そんな状態では、なにをどう始めたらよいか迷ってしまうのも無理はありません。
それに、ガチで自分テストマーケティングをしようと思うと、今の仕事もおろそかになりそうでどれも中途半端になってしまうかも…と思うと、すぐに始められない気持ちも分かります。
そこで、同じ価値観やキャリアの不安を話すことができる安全安心な場で、小さく「自分テストマーケティング」を繰り返すことができると最高だなーと思い、主宰するオンライン学習コミュニティ「朝キャリ」内で「先生ごっこの会」というイベントを開催することにしました。
「先生ごっこの会」とは、先生と自分から名乗るのは気恥ずかしいけれど、ちょっと人より知っていて、教えられそうなことを実際に教える機会を作り、自分の好きや得意を小さく試す場です。
先生ごっこの会の5つのメリット
1. 安全な場所でジャブを打てる
新しいチャレンジが怖いのは、「そんなの無理だよ」「難しいに決まっている」「そんなことやろうとしてるなんておかしい」といったような、自分のことをたいして知らない人の無遠慮なアドバイスに影響されるからです。
出世、転職、起業、副業という、自分の人生にかかわるプライベートな話題は、悩みが深刻であるゆえに誰にも相談できずに抱えてしまう方も多いです。また、自分のホンネを語ると「意識高い」と思われるという不安から、本当にやりたいことを声にだせない場合もあるでしょう。朝キャリは、このような進路に関わる悩みを動画ワークによる自己分析と、学びのシェアや悩みの共有をすることで解決する安全安心な場です。
やりたい!と思ったことをちゅうちょなく試して、ダメだったらもう一度やりなおすことができる環境で、のびのびとチャレンジできます。
2. 自分のスキルをコンテンツ化できる
学ぶのに一番手っ取り早い方法は教えることです。
まがりなりにも「先生」として他の人に教えるからには、自分ができること、相手の役に立つことを棚卸ししなければいけません。教えようと思ってまとめることで、分かりやすくしようと努力しますし、自分にだってできることがある!という自信にもなります。
また、自分にとって何でもないことが、相手にとって、ものすごく価値があると分かる場合も多くあります。自分にとって当たり前にできること、簡単にできること、工夫してできるようになったことは「たいしたことがない」と軽視されがちですが、他の人にとっては喉から手がでるほど欲しいスキルだったりもします。「先生ごっこの会」を実施することで、自分では気付かなかった自分の価値に気付くこともあります。
3. 告知→集客→実行をシミュレーションできる
先生をしたい、と思ったときに困るのは「どうやって告知すればいいの?」「募集文はどう書くの?」ということです。特に経験がない人にとっては不安なことでしょう。そこで10年以上イベント立ち上げ経験がある筆者(池田千恵)が、相手が「聞きたい」「教えてほしい」と思える告知文のポイントをテンプレート化しました。テンプレートを使えば告知文が簡単にまとめられますし、いちど告知→集客→実行までを経験すると、今後自分で主催するときの参考になります。
4. 実施した後の反省点を今後に活かせる
実施後、参加者から率直な感想を聞くことで、今後どうすれば良いかの方向性が分かります。また、「このテーマでやってみたけれど、しっくりこない」「自分はこれが好きだと思っていたけど、好きじゃない気がする」といったように、本当に自分が求めていること、そうでないことも見極めができます。
「自分テストマーケティング」はアイディアを市場に問う作業なので痛みが伴います。思ったように人が集まらなかったり、緊張してうまく話せないときもあるかもしれません。しかし、受け入れられないのはあなたの存在全体ではなくて、あなたのアイディアの一部だけです。
何度も挑戦して、失敗を繰り返してこそアイディアは研ぎ澄まされるのに、多くの人は一度の失敗で萎縮してしまいます。「先生ごっこの会」では、何度も挑戦してノウハウを自分にため、精度を上げるというプロセスを気軽に体験することができます。
今や勤めている会社が3年後、5年後に「何屋」をしているかすらわからない時代。自分のスキルを小さく試して挑戦して、精度を上げて行くことはもはや必須の行動です。今「先生ごっこの会」で慣れていけば、今後先が見えない時代でも自分のスキルで生きて行くための「自分商品化」を進めることができます。
5. 仕事への相乗効果がある
「先生ごっこの会」で先生をするには、次のようなプロセスが必要です。
- リソースを洗い出して価値を見つける
- 価値の要点をまとめる
- 相手に分かりやすく話せるよう準備をする
- 集客する
- 仮説を立てて実行し、検証する
このプロセスは、会社で仕事をする上でも役立ちます。会社で思ったような評価が得られないと悩む人は、上記のような行動をおろそかにし、自分の主張だけを周囲に伝える場合が多いからです。先生ごっこの会で先生を経験することで、相手のために仕事をするというのはどういうことかが分かるようになります。
先生ごっこの会の具体例紹介
実際に「先生ごっこの会」で先生をしてくれた方の事例を紹介します。
朝キャリメンバー小菅千晶さんには「ブログでメンタルを整える方法」をテーマに、オンライン会議システムZoomを使ったオンライン講義を、
谷山友子さんには「羽田空港バイト歴6年のガイドが案内する羽田空港ツアー」をテーマにリアルに羽田空港ツアーを開催してもらいました。
ステップ1. 自分の「好き」や「得意」に仮説を立てる:小菅千晶さんの例
小菅千晶さんは、企業の法人営業をされている会社員です。過去メンタル不調で会社で思うようなパフォーマンスを出せない時期がありましたが、ブログで読書記録を書き始めたところ、自己肯定感が上がり心身が整いメンタル不調が解消。その後社長賞とMVP賞を立て続けに獲得するに至りました。
その経緯については小菅さんが書いたレポートに詳しいです。
■小菅さんのブログ「えんたんと読書 New」
ブログを書くことが精神安定剤になるという主張、社長賞とMVP賞を立て続けに獲得するという結果が面白いということで、ぜひに、と、朝キャリの「先生ごっこの会」で先生をやってもらうことになりました。
ステップ1. 自分の「好き」や「得意」に仮説を立てる:谷山友子さんの例
谷山友子さんは普段は企業の人事担当をされていますが、「朝時間は心に余裕ができて、結果自分にとって良いことしかない」という信念を持ち、「朝時間.jp」の「朝美人アンバサダー」としても活躍中です。
「羽田空港でずっとバイトしてたので穴場を知っている」
「バイト歴6年」
「羽田空港の朝が好き」
「羽田空港は私にとってのパワースポット」
「朝活モーニング巡りが趣味」
ということを朝キャリのワークで知ったので、モーニング食べ歩きが趣味の谷山さんオススメ羽田空港モーニングを楽しんだあと、穴場ツアーを企画してもらうことになりました。
ステップ2. 募集告知文を作り反応を見る
以下のテンプレートを埋めて、各自、自分の「好き」や「得意」をサービス化し、募集告知文を作り「朝キャリ」内で募集しました。
<タイトル>
1. こんなことで悩んでいる人がこう変化する講座です
2. 受講後こんな未来が待っています
3. こんな内容を話します(箇条書きで最低3つ)
小菅さんの告知文は次のようなものです。
<ブログでメンタルを整える方法>
日程:2019年8月25日(日)朝7時〜8時
場所:オンライン(Zoomで朝キャリメンバーのみ参加できます)
概要:
自分が何者なのか分からない、何者にもなれていないという不安を持っている人が、ブログを書くことにより自分が何者かを知ることができ、自己肯定感が高まる講座です。ブログでメンタルを整える方法が身につくと、自己肯定感が付く→文章力が付く→自分の好きなことややりたいことがハッキリしてくるというメリットがあります。
具体的には、こんな内容を知ることができます
・ブログを使って人生が変わったエピソード3つ
・続けるための工夫 習慣化編
・続けるための工夫 書き方編
・ブログサービスの比較
谷山さんの告知文は次のようなものです。
<羽田空港アルバイト歴6年の谷山さんが案内する羽田空港穴場ツアー>
日時:2019年9月15日(日)朝9時〜11時
場所:羽田空港国内線ターミナル
概要:
朝時間.jpで朝美人アンバサダーをつとめ、モーニング食べ歩きが趣味の谷山さんは「羽田空港はパワースポット」と語ります。羽田空港で高校〜大学時代合わせて6年アルバイトしていた谷山さんオススメ羽田空港モ
具体的には、次のような内容を予定しています。
・モーニング食べ歩きが趣味の谷山さんオススメ羽田モーニング
・あまり知られていない絶景ポイントや休憩穴場ポイント
・羽田空港限定のおすすめお土産ベスト3
ステップ3. オンライン会議システムZoomもしくはリアルで開催する
小菅さんのブログ講座はオンライン会議システムZoomを活用して開催しました。講義の後、質問タイムも設けました。朝キャリメンバーはアーカイブとして見られるようにしています。
ブログを書くことで、肩書きがなくても「自分にできること」のエビデンスが積み上がっていくこと、想いをきちんと文字にすることにより、やりたいことが見えてくること、実際に起きた変化(女性誌に体験が掲載、天狼院ライティングゼミでの掲載、会社の報告書に「躍動感がある」と評価されたことなど)を語っていただきました。
また、精神論だけでなく、具体的に「続ける」ためのテクニックも教わり、とても勉強になりました。
谷山さんの羽田空港ツアーは実際に体験することが大切なので、現地集合で「大人の修学旅行」のような感じで開催しました。「旅のしおり」まで作ってもらい、終わってからも二度楽しめました。
筆者も3歳の息子を連れて参加。親子でワクワクしながら楽しめました!
■先生ごっこの会で「先生」体験をしての感想
実際に「先生」をしてもらった小菅さん、谷山さんの感想です。
先生ごっこの会で、人に教えたいことをある程度形にできた。発表
どちらかというと生真面目な性格なので、「ちゃんとしてから発信しないと」「いつまで経っても理想の自分になれない」と思いがちだったのが、良い意味で変わりました。羽田空港が好きだと発信したら、自分がガイドになり10人以上の方を連れて、羽田空港ツアーをしたり自分でもビックリ!これからもっと発信して、自分の軸を作っていきたいです。 (谷山さん)
■自分の資産を形にして発信する練習をしてみよう
いきなり「先生」として教えるのは無理でも、「先生ごっこ」という形で自分のスキルの棚卸しをしていけば、自分の強みや何に喜びを見いだしているかが分かるようになります。いきなり転職活動や起業に気持ちを向ける前に、まずは自分の資産を見直してみましょう。
今の段階で自信がなくても大丈夫です。先生「ごっこ」ですから。天才と比べる必要もありません。なぜなら天才は、もとから普通にできてしまうから、できない辛さを知らないからです。
天才は、他の人がどうしてできないのかが分からないし、できるようになるための方法論も知りません。でも、凡人が、「できない、自信がない、でもできるようになりたい」と必死に勉強して、できるようになったとき、できない人ができるようになるプロセスが腹の底から理解できます。そのプロセスこそ、将来教えられるコンテンツに変わり、多くの人を救うことができるのです。
凡人ができるようになるプロセスを伝えるからこそ、「あの人にもできるんだから、自分にもできるかもしれない」という希望を周囲に与えることができるのです。自分が経てきた歴史がそのまま、周りの人たちの勇気になり、励みになります。
そんな生き方の第一歩を踏み出すには、「先生ごっこの会」のように小さく試して挑戦する場が必要なのです。
朝キャリについてどのようなコミュニティかを説明する無料動画講座がありますので、興味がありましたら下のリンクよりご登録ください
株式会社 朝6時 代表取締役。国家資格キャリアコンサルタント。慶應義塾大学総合政策学部卒業。外食企業、外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。企業の朝イチ仕事改善、生産性向上の仕組みを構築している他、「働き方改革プロジェクト」「女性活躍推進プロジェクト」など、ミドルマネジメント戦力化のためのコンサルティングや研修を行っている。個人に向けては朝活で人生計画を立てるコミュニティ「朝キャリ」(https://ikedachie.com/course/salon/)を主宰。12年連続プロデュースの「朝活手帳」など著書多数。