[時間美人]第1回 米倉史夏さんインタビュー

time_01

◆見えない天井”がないところで勝負してみたい

大学のゼミで国際協力について学んでいて、海外との架け橋になりたいと政府系の金融機関に就職しました。でも、女性に対する古風な考えがまだ残っていた社風に、なかなか馴染めませんでした。大学時代の友達が男女の差を感じることなく、キャリアを積んでいくなか、「私はこのままでいいのか」としばらく悩みました。

そんなとき、たまたま見た新聞広告で外資系の戦略コンサルティング会社(以下コンサル会社)が第二新卒でリサーチャー(市場・企業動向のリサーチやコンサルタントのプロジェクトをサポートする職種)を募集していると知りました。

私は当時、日本企業の海外直接投資に関して企業アンケートを実施し、集計・分析してレポートを出すことを仕事としていました。アンケートを作ったり結果を分析したりすることが楽しい、と思い始めたところだったので、ここなら男女関係なく「調べる」をキャリアとして極められるかもしれない、と思い、1年で金融機関を辞めて飛び込みました。

コンサル会社では7年キャリアを積みました。たくさんのチャンスに恵まれ、いい仲間にも出会い、申し分のない環境ではあったのですが、30歳を過ぎ、ずっとサポートする立場で働き続けることを不安に感じる自分もいました。

新卒の金融機関では事務スタッフとして、コンサル会社でもコンサルタントをサポートするバックオフィススタッフとして仕事をしているうちに、「サポーター」だけでなく「プレーヤー」として働く実感が欲しい、とだんだん思うようになりました。

結婚して数年が経ち、年齢のことも考えると出産を考え始めてもいい時期ではありましたが、まだ子供がいない今だったら違う環境に挑戦することもできる、と思い、思い切って違う世界に飛び込むことにしました。

◆不安な時は、とにかくぶつかってみる

コンサル会社では医療関係のリサーチを専門にしていたので、今の会社ではまず、医療の新規プロジェクトの部署に配属されました。でも、同じ「医療」でも私が今までキャリアを積んできたのは主に、製薬業界の領域。新しい会社でのミッションは、メンタルヘルスケアという、全く異なる領域でした。かつ新商品を開発するという、リサーチの経験しかしてこなかった私にとっては未知の世界でした。入社して1年半は、どうしたら良いか分からないまま迷走していましたね。

 

ただ、ここでも分からないなりに行動を起こすようにはしていたと思います。いきなり「新商品を開発しなさい」と言われましたが、何から始めていいかが分からなかったので、社内に知り合いがいない中、商品開発者向け研修を行なっている人や他部署で知見がありそうな人にいきなり頼み込んで教えてもらったりしました。

人に会ったり、お願いしたりっていうのはこわいし、ドキドキして緊張するけれど、ぶつからない限り道は開けてこないものですよね。思い切って相談したのをきっかけに、芋づる式に縁が繋がって、限られた人しか参加が許されない勉強会に参加させてもらえたり、朝の始業前の時間に市場動向のレクチャーを受けたりと、いろいろ親切にしてもらえました。

◆やみくもにぶつかるのではなく、一呼吸おいて準備する

time_03私は、こわくてもとにかく行動してみる、人に聞いてみる、ということをいつも大事にしています。考えすぎると行動がストップしてしまいます。ストップの状態がこのまま続いてしまうことこそが問題だと思うからです。

とはいえ、いきなり「何も知らないので教えてください」と、準備をしないで相手にぶつかっていくことはしないようにしています。具体的には、人と会ったり相談したりする前に、毎回自分に質問するようにしています。

「Take away は何にする?(今回、何を持って帰る?)」
相手に質問したあとに、自分がどういう状態になっていれば良いかを、前もって確認するようにしています。そうしないと、話をしている流れのなかで目的を見失ってしまうことが多いからです。

最近はインタビューすることが多いので、必ずノートに事前に聞くべきことやゴールをまとめるようにしています。

仕事がたくさんありすぎて、どうしたらいいか分からなくなって「イライラ、キャー!」と思うことももちろんありますよ。そういう時も、一度落ち着いてスケジュールを確認するようにしています。冷静に考えると、イッパイイッパイだと思っていたけれど、案外時間が残っていることに気づいたりするものなんですよね。

◆仕事が好きな人は、きっと子育ても好き

time_04今、1歳の男の子のママとして毎日過ごしています。よくいろんな人に「大変でしょう」とか「忙しいでしょう」って聞かれます。大変なこともありますが、それ以上に楽しいことのほうがはるかに多いんです。

例えば昨日絵本を読み聞かせても反応がなかったのに、今日同じところを読み聞かせると急に「ワンワン」とか言い始めたりするんですよ。日々の変化を見るのがとにかく楽しいです。

それと、実は、子育てって仕事で培われたスキルを発揮できるいい機会なんですよ。私は「赤ちゃんマネジメント」と呼んでます。

子供が生まれてから、限られた時間のなかでやるべき事を片付けるために、「今、自分にしかできないことは何か?」「子供の相手をしながらできる作業は何か?」というように、日々効率と優先順位を考えるようになりました。子供が生まれる前は、家事も思いつきでやってたんです。例えば洗面所が汚れているのがたまたま目付いたから掃除して、その横に洗濯物がたまっていたから洗濯して… というように、目に付いたものから片付けていました。今は、どうやったら効率化できるかを考えて、今すべきか、後ですべきかを判断しながら家事もするように心がけています。

時間がかかりそうだから早めにやっておこう、という理由でやるんじゃなくて、何でも、その時、今の自分ができること、今の自分にしかできないことに集中できるようになりました。

例えば、子供をあやしながらネット検索はできませんが、洗濯物をたたむことはできます。赤ちゃんはカラフルなものが好きなので、キレイな色のタオルを前にひらひらさせながらたたんだりすると、子供は遊んでくれてると思ってくれて喜ぶし、私も洗濯物をたたむことができます。こうして、計画通りに物事が進んだ時に、やったー!って、嬉しくなります。

time_05子育て中でも自分の時間をしっかり作りたい!と思うようになってからは、子供の生活リズムを整えるようにしました。育児書などにもよく書いてありますが、子供って、ちゃんと規則正しい生活をさせると、その通りにちゃんと生活してくれるんです。

例えば、なかなかご飯を食べないからといって、食べるまで何時間も頑張るんじゃなくて、毎日一定の時間にご飯をあげて、その時間に食べてくれなかったらもうあげないようにすれば、赤ちゃんも自分なりに「この時間に食べないと食べられないんだ」と分かるみたいできちんと食べてくれる。寝る時間も、毎日ほぼ同じ時間にベッドに連れていく。こうやってマネジメントしていくと、思い通りの時間にすぐ寝入ってくれるので、そのあと自分の時間がたっぷりつくれるようになりました。

自由な時間が昔よりないのは確かですが、その分きちんと自分の時間が作れた時の達成感は大きいです。子供がいなかったときに飲む、ほっと一息のコーヒーと、今のひとり時間で飲むコーヒーはおいしさが違います。

また、子供と向き合うことで、人間の観察力を養えると思います。この子はどういうときに、どんな仕草をするんだろう、という目で見るのと同じように、仕事相手に接することができたら、仕事への姿勢も変わってきそうです。
仕事のマネジメントと、赤ちゃんのマネジメントは一緒。
変化を楽しめて、段取りよく物事を進めることに達成感を感じる人だったら、きっと子育ても楽しめるはず!


copyright© ikedachie.com all rights resereved